東町屋台、最後の夏。高野町祇園祭に参加して
POSTED / 2025.08.09

佐久穂町・高野町で行われた祇園祭。相生町、東町、柳町、翠町の4つの町から屋台が出され、お囃子を奏でながら町を練り歩く伝統あるお祭りです。今年は、そのうちの一つ、東町の屋台が最後の年を迎えるという節目の年でした。
私もご縁あって、屋台の上で三味線を弾かせていただきました。乗っていると、じっくりと他町の屋台を眺めたり、名物でもある相生町と東町の「喧嘩屋台」を間近で楽しむことはなかなかできません。それでも、100年近く続いてきた4町の屋台のひとつが姿を消すという事実に、胸が締め付けられるような寂しさを感じました。
JR小海線・羽黒下駅から海瀬駅方面に続く通り沿いにある東町商店街は、かつて「東信州の上海」とも呼ばれ、大正から昭和初期にかけて大変賑わった地域です。戦後の木材需要の高まりとともに、羽黒下駅からは多くの木材が搬出され、東町もまた商店街として大いに栄えました。祇園祭の時期には商店の間に所狭しと出店が並び、多くの人で賑わっていたそうです。
その時代から続いてきた屋台。今、人口減少が進む中で、こうした伝統行事を継続することの難しさは、参加する皆さんが肌で感じていることと思います。かつては、夏といえば祇園祭。子どもたちにとっては、屋台に乗って太鼓を叩くことを夢みたり、町の大人たちもその姿を心から楽しみにしていたことでしょう。
今年の祇園祭、二日目は無事に時間通り運行できました。時代が変わっても、形を変えながらも、この地域ならではのお祭りがこれからも続いていくことを、心から願っています。
©️yamania