おばあちゃんやおじいちゃんが子どもの頃、家のなかで蚕を育て、釜戸で煮炊きをし、季節の食材をいただく、といったことが佐久穂の日常としてありました。
代々受け継がれた家で、着るもの、食べるものを自分で作り、子どもの頃から衣食住を通じて生きる力を育んでいったのです。
手間ひまかけてまかなう「衣食住」はひとりでできるものではなく、村の人が集い、世間話をしながら行う、人と自然の営みそのものでした。
現代は暮らしの選択肢が広がり、人と会わなくとも生きていける時代です。
しかし、その情報量の多さや忙しさゆえに、本来、人間のなかに備わっている生きる力が失われつつあることも確かです。
築150年の土蔵だった布流久佐は現代を生きる私たちが先人の知恵に学びながらこれからの衣食住を紡ぎなおす場として受け継がれていきます。