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平林千手院「火渡りの行」— 炎と祈りが響く秋の一日

POSTED / 2025.10.21

平林千手院「火渡りの行」— 炎と祈りが響く秋の一日

法螺貝の音が山里に響き渡ります。
その音とともに、白装束をまとった行者様たちがゆっくりと姿を現されました。荘厳な雰囲気に包まれ、会場は一気に静まり返ります。

やがて、弓矢の儀。


放たれた矢は「福矢」と呼ばれる縁起物で、拾った人には一年の福が授かるといわれています。矢が放たれるたび、観衆は一斉に走り出し、福を求める笑顔と歓声が広がります。

続いて、護摩壇に火が入れられる「護摩供養」の法要が始まります。


護摩壇の前には、厳かに積まれた護摩木。火天に張られた結界を、導師が斧で静かに断ち切ります。
その瞬間、点火。
炎が立ち上がり、白煙が空へと昇っていきます。読経の声が響き、次々と護摩木が火中に投げ入れられます。燃え盛る炎が煩悩を焼き尽くすように揺らめき、祈りの熱気が会場を包みます。

やがて護摩が終わると、残された火床が整えられます。
熾(おき)となった炭の上に塩がまかれ、清めの儀が行われます。
いよいよ「火渡り」の始まりです。

まずは導師をはじめとする行者様たちが、唱える経文とともに炎の上を静かに歩みます。
その後、来賓、そして一般参拝者が順に火床を渡っていきます。素足で渡る瞬間、熱気と緊張、そして不思議な静けさが心に宿ります。

渡り終えた人々には、お供えの「お餅」が手渡されました。
火を渡ることで心身を清め、無病息災を祈るこの行。
燃えたぎる炎と清めの煙の中で、古来から続く祈りの力を、確かに感じるひとときです。

20251116日午後13時~平林観世音秋季大祭「火渡り護摩供」が開催されます。

この地に受け継がれる「火渡り護摩供」に、ぜひ足を運び、平林の信仰と息づく伝統を感じてみてください。